FXを始めたときに目にする、「証拠金維持率」という言葉の意味がわからない!
でも今更聞けない!というFX初心者は意外と多いのではないでしょうか。
証拠金維持率は、FXをする上で非常に需要です。
証拠金維持率が一定の水準まで低下するとロスカット(強制決済)されてしまいます。
証拠金維持率はそれぞれのFX業者が定めているので、トレーダーはその基準を下回らないように常に気を配り、必要であれば入金するなどの方法で回復させなくてはいけません。
今回は証拠金維持率とは何か、レバレッジとの相関関係を交えながらロスカットを避ける方法やどのような場面で証拠金維持率をチェックするのかについて解説します。
この記事は「FXの証拠金維持率の意味とチェックポイント」について書いています。
特に海外FX口座の方が小資金で始められるから魅力的だな!とお考えのFX初心者に向けて、証拠金維持率の仕組みと知らないと困る理由について書いているので最後までご覧ください。
- これからFX口座を開設しようとしている人
- 証拠金維持率の意味が分からないFX初心者
証拠金と証拠金維持率
大切な資金を増やすことが目的でFXをするのですからその資金を無くしたくないですよね!
証拠金維持率をきちんと理解することは、ロスカットや追証を避けることに繋がります。
海外FX・国内FX問わずすべてのFX業者はロスカットとなる証拠金維持率を設定していますが、その基準は業者ごとに異なります。
100%に設定している業者もあれば、20%に設定している業者もありますが、傾向として海外FX業者の方が国内FX業者よりも証拠金維持率を低く設定しています。
FXの証拠金とは?
FXとは一定額以上の金額を担保として取引会社に預け入れて行う取引です。
この担保を証拠金と言い、このような取引を証拠金取引といいます。
通貨を売買する際にはその都度お金を支払うのではなく、口座に入金を行いますよね。
この入金された資金が「証拠金」に当たります。
証拠金の多くは日本円のみが可能となっていて、外貨や株式などの有価証券は証拠金として預け入れ不可な場合が多いです。
証拠金の必要最低額っていくら?
証拠金はの必要最低ラインは取引会社によって違い、また取引する通貨によっても違います。
多くの場合、取引する額の5%程度に設定しています。これを必要証拠金といいます。
またFX会社ごとの「1万通貨対応」や「1000通貨対応」という表記も重要です。
米ドル円で取引をする場合、1万通貨のFX会社なら約4万円、
1000通貨のFX会社なら約4000円が必要になります。
初めてFXする方は、少額でできる「1000通貨対応」のFX会社がオススメです。
証拠金の種類
FXでよく登場する用語「証拠金」ですが、更に意味を限定した2種類の用語が存在します。
必要証拠金
一つ目は上記で解説した必要証拠金です。
取引したい通貨ペア&売買方向(売りなのか買いなのか)&通貨単位のために最低限必要な証拠金の事を言います。
国内FX会社では口座に入れたお金の最大25倍取引が可能なので、必要証拠金は「(1通貨当たりの値段×取引通貨単位)/25」となります。
例えば米ドルが1ドル100円の時に1000通貨単位取引をしたい場合、必要証拠金は「(100円×1000通貨)/25 = 4000円」となります。
但し必要証拠金ギリギリで取引を始めた場合、ちょっとした変動ですぐに強制ロスカットが発生してしまうリスクがありますので、可能な限り必要証拠金以上のお金を入金した方が安全です。
有効証拠金
もう一つは有効証拠金です。
「FX会社の口座に入れた証拠金±含み損益」の事で、実質証拠金や純資産とも呼ばれます。
要は実際に今現在FX会社の口座に本当に入ってる資産の事です。
必要証拠金と有効証拠金(純資産)は後述する「証拠金維持率」を計算するときに使われます。
最低証拠金
上記2つから派生して、証拠金として扱われるものに「最低証拠金」があります。
これはポジションを持つ為に最低いくら必要なのか?という金額を表すものです。
必要証拠金と定義が似ていますが、あちらが有効レバレッジに対していくら必要なのか?考えるのに対して、こちらはレバレッジ最大である前提であることを押さえておくと良いでしょう。
最低証拠金は、通貨単位の比較を行う際によく用いられます。
例えば、1通貨なら4円。1000通貨なら4000円。1万通貨なら4万円と言った具合です。
これらは同一の通貨ペア・為替レートで、同一のレバレッジ(最大の場合)で比較された最低証拠金です。
FX初心者の方がFXを始める目安とするために、分かりやすく金額を提示して解説することが多くなります。
証拠金維持率とは?
実際に取引している金額に対して、証拠金の残高の割合のことを証拠金維持率といいます。
決済をせずにポジションを持っている間は、利益や損失は確定しませんが、現時点のレートで決済した場合に発生するであろう利益を含み益、損失を含み損といい、まとめて評価損益ともいいます。
通常、証拠金維持率は50%以上を維持するように決められていて、
もし仮に50%を割った場合、マージンコールがかかります。
マージンコールとは、証拠金を追加するかポジションを決済するかして、
証拠金維持率を50%以上に引き上げることを求める警告です。
マージンコールがあったにも関わらず、期限までに証拠金を追加しなかったり、証拠金維持率がさらに大幅に下回ったりした場合は、その時点で自動的に強制決済されます。
これをロスカットと言い、証拠金以上の大幅な損失を出さないようにするためのシステムとしてほとんどのFX会社で取り入れられています。
証拠金維持率の計算方法
証拠金維持率は以下のような計算方法で求められます。
証拠金維持率 = 純資産 ÷ 必要証拠金 × 100%
純資産とはFX口座に入金されている資金のことです。
既にポジションを持っていて含み益・含み損がある場合はその金額も合計します。
必要証拠金はポジションを維持するために必要な資金のことです。
米ドル円の取引であれば、先ほどの説明の通り4000円程度の資金が必要になります。(※1ドル=100円、1000通貨取引の場合)
FX会社公式では、現在のレートで自動的に必要証拠金をシミュレートしてくれるものもあります。
証拠金維持率に関しても計算シミュレーションをすれば、どのくらいの為替レートまでロスカットされずに耐えきることができるかを、実際に手計算をしなくとも把握できます。
証拠金維持率を無視しちゃダメ!な理由
前章までの通り、証拠金維持率はロスカットになるかを知る上で無視できない数字です。
証拠金維持率を無視したトレードをすると、うまくいく時は効率の良い資金増加となりますが、一瞬で資金を失うことにつながります。
ここではなぜ証拠金維持率を無視したトレードはいけないのか。その理由についてお話しします。
せっかくのチャンスを資金不足で逃す
トレードはトータルで資金を増やしていくものなので、相場状況によっては思惑通りに値が動かず、損切りを繰り返すこともあります。
その損切りを繰り返しているときに、証拠金維持率を無視してハイレバレッジでトレードをしてしまうと、いざ狙っていたチャンスが到来した時に資金不足でトレードが出来ないという残念な結果になってしまいます。
資金を守るためにも証拠金維持率は無視できません。
積み増しが出来ない
最初に持ったポジションが、資金に対して大きすぎると、いざ思惑通りに値が動いても、ポジション数を増やすことが出来ません。
例えば上昇する場面で、買いを入れた後に更に値が上がるなら、買い増したいと考えます。
しかし、資金が足りないと買い増しはできません。
また、ハイレバレッジでの取引は少しの値動きで資金の増減が激しく感じられてしまうので、冷静な判断がしにくくなります。
チャンスなのに損切りになるパターンを招きかねないので注意しましょう。
ナンピンが出来ない
買い場面で買ってから、値が下がってしまった場合であっても、正しくナンピンすることをマスターできれば資金を減らさないで済みます。
しかし、証拠金維持率を無視した初エントリーをしてしまうと、せっかくのナンピン場面でポジションが持てず資金を減らすということになります。
このように、証拠金維持率を無視したトレードは、資金を大きく減少させる原因となります。
証拠金維持率とロスカット
ロスカットとは
海外FX業者や国内FX業者が強制的にトレーダーの取引を決済することです。
トレーダー側から見ると含み損がある状態でも決済をされてしまい、その時点で損失が確定してしまうので、その後相場が戻ったとしてもチャンスを逃すことになってしまいます。
証拠金維持率が低下していき、強制ロスカットが実施されてしまう水準のことを「ロスカット水準」と言います。
たとえ取引が途中の段階でも、高めのロスカット水準を定めている業者の場合は、少しの値動きでロスカット水準を割り込むことも考えられます。
含み損が増えたとしても、最終的に相場が浮上したタイミングで決済すれば利益となるので、一般的にはロスカット水準が低い海外FX業者の方が「負けは確定しづらい」と言うことができます。
ロスカットの基準となる証拠金維持率
繰り返しになりますが、海外FX業者がロスカットを行うのは、トレーダーの証拠金維持率が業者の設定する証拠金維持率を下回ったときです。
その証拠金維持率は海外FXでも国内FXでも業者ごとに異なります。
では、ここでロスカット水準が20%の海外FX業者Aと100%の海外FX業者Bで、ロスカット水準の差による取引の違いを比較してみます。
ある相場で、重要な指標発表の結果が出た直後に価格が急落し、証拠金維持率が60%まで低下し、その直後に反発し結果的に指標発表前よりも高い水準まで回復したとします。
海外FX業者Bでは、証拠金維持率が100%を下回ったために強制ロスカットとなりますが、水準が20%の海外FX業者Aでは、強制ロスカットとはならずにポジションを保有し続けることができ、利益を得ることができます。
ロスカット水準が低い方が少しの値動きでもロスカットとならずに、相場が回復する機会を待つことができると言えます。
強制ロスカット回避で注意するポイントとは
ロスカットは保有中のポジションが強制的に決済されてしまうので、極力回避したいものです。
回避するために取れる選択肢は限られていますが、確実に実施しましょう。
証拠金維持率とレバレッジの相関を理解する
レバレッジを高くすると、必要証拠金の金額が少なくなります。
例えば入金額10万円で円建て口座で1ドル100円のときにUSD/JPYを10万通貨(1ロット)エントリーして、ロスカット水準が50%という条件で、レバレッジの違いによって必要証拠金がどのように変わるかを見てみましょう。
レバレッジが100倍の口座
必要証拠金:100,000×1ロット(10万通貨)÷100倍=1,000USD(円換算で10万円)
エントリー時の証拠金維持率:10万円÷10万円×100=100%
証拠金維持率が50%になる有効証拠金額:10万円×50%=5万円
そのため、ロスカットまで許容できる含み損は、
口座残高10万円−有効証拠金額5万円=5万円となります。
レバレッジが500倍の口座
必要証拠金:100,000×1ロット(10万通貨)÷500倍=200USD(円換算で2万円)
エントリー時の証拠金維持率:10万円÷2万円×100=500%
証拠金維持率が50%になる有効証拠金額:10万円×10%=1万円
そのため、ロスカットまで許容できる含み損は、
口座残高10万円−有効証拠金額1万円=9万円となります。
このようにレバレッジが高くなるほど、許容できる含み損の金額が高くなることが分かります。
追加入金またはポジションの一部決済で証拠金維持率を上げる
追加入金をすれば有効証拠金が増えますので、証拠金維持率が上がりロスカットを回避することができます。
また、保有しているポジションの一部を決済することでも、証拠金維持率を上げることができます。
まとめ
証拠金維持率とは
実際に取引している金額に対して、証拠金の残高の割合のことです。
証拠金維持率を無視しちゃダメな理由
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- せっかくのチャンスを資金不足で逃す
- 積み増しが出来ない
- ナンピンが出来ない
強制ロスカット回避での注意ポイント
-
- 証拠金維持率とレバレッジの相関を理解する
- 追加入金またはポジションの一部決済で証拠金維持率を上げる
証拠金維持率とロスカットの関係性が理解できましたでしょうか。
強制ロスカットはそもそも、トレーダーの資金を守るために設定されているものですが、意図しないタイミングで強制的に損切りさせられる場合もあるため、不本意な結果に終わってしまう可能性もあります。
相場の反発を期待している場面で強制ロスカットになってしまうのは痛恨です。
このような事態を回避するためにも、証拠金維持率には常に気を配らなければなりません。
また、海外FX業者を選ぶ際には、ボーナスやゼロカットシステムといった要素に加えて、証拠金維持率の低さも一つの指標になります。
証拠金維持率に気をつけながら、自分が考える最適なタイミングで売買して、最大限の利益を狙いましょう。